・開催概要

本企画では『サバイバル複合芸術 ー Survive with Transdisciplinary-Arts』と題して、博士課程学生が企画する「生」に関する4つのセッションを行います。

 Vol.1「生命」では、日雇い労働者や路上生活者が多い地区である大阪市西成区通称・釜ヶ崎における、さまざまな人々の出会いの場づくりと、学びや表現の機会を通じた生命への気づきについて語り合います。

 Vol.2「生存」では、ベトナムやミャンマー人アーティストの表現を踏まえて、動物、植物、人間等の有機的存在を越え、アジア各地の「食」や「民話」を起点に、現代社会における生存のための具体的な方法について思考します。

 Vol.3「根生」では、詩のボクシングなどのような現代における詩のある種の社会進出を踏まえ、多様化する詩の在り方について考えることを通じて、詩が個人の内面だけではなく「場」に根づいて生き残っていくための「方法」について見つめ直します。

 Vol.4「共生」では、北海道南西部での「サバイバル登山」を元にした作品を踏まえて、人間が身の回りの生命とどのように緊密に結びつきながら生きていくことができるのか、共生していく在り方について考えます。

各セッションで取り扱う生をめぐる問題は、アートとあらゆる専門領域が密接に結びつきながら展開されています。本企画では、日常生活で体感している資本主義システムにおける一義的な生だけでなく、様々に営まれている「多層的な生の存続」(サバイバル)について、複合芸術の視点から見つめ直していくことを試みます。(文:博士課程一同)

※vol. 3、vol. 4はこれから開催されます。個別の日程や視聴方法等については決まり次第お知らせいたします。


・セッション一覧

Vol.1 「生命」 - アジールと限界芸術
モデレーター:秋田光軌
ゲスト:上田假奈代(詩人・詩業家・NPO法人こえとことばとこころの部屋代表)、福住廉(美術評論家・秋田公立美術大学准教授)

Vol.2 「生存」 ー今日のアジアと限界芸術
モデレーター:藪本雄登
ゲスト:Aung Myattay(アーティスト)、Tuan Mami(アーティスト・インディペンデントキュレーター)、福住廉(美術評論家・秋田公立美術大学准教授)

Vol.3 「根生」 - 詩の視力 - 詩が根づく〈場〉とこれから
モデレーター:佐々木樹
ゲスト:松井茂(詩人・映像メディア研究者・情報科学芸術大学院大学准教授)

Vol.4 「共生」 - サバイブするアートの旅
モデレーター:宮本一行
ゲスト:服部文祥(作家・登山家)、石川竜一(写真家)

各セッションの詳細については、本学WebサイトならびにSNSなどで随時更新する予定です。
多くの皆さまが参加されますことを博士課程学生一同、期待しております。


開催済みイベント

vol. 1「生命」―アジールと限界芸術
モデレーター:秋田光軌(秋田公立美術大学大学院博士課程3年)
ゲスト:上田假奈代(詩人、詩業家、NPO法人こえとことばとこころの部屋代表)、福住廉(美術評論家・秋田公立美術大学大学院准教授)

詩人の上田假奈代氏は「生きることは表現」との考えのもと、釜ヶ崎にて「ゲストハウスとカフェと庭 ココルーム」を運営しながら、多様な人々が芸術文化や学問について学び合う場づくりを行っています。セッションvol.1では、生活と芸術の境界線上にある「限界芸術」の視点も交え、美術評論家の福住廉氏とともに、ココルームの活動の中にある「生命」への気づきについて語り合います。

Vol.2 「生存」 ―今日のアジアと限界芸術
モデレーター:藪本雄登(秋田公立美術大学大学院博士課程1年)
ゲスト:Aung Myattay(アーティスト)、Tuan Mami(アーティスト)、福住廉

セッションVol.2では、「生存」という言葉をテーマに、ベトナム人アーティストのトゥアン・マミ(Tuan Mami)やミャンマー人アーティストのアウンミャッテー(Aung Myattay)の芸術表現を踏まえて、現代の東南アジアの芸術を取り巻く環境や状況について共有致します。そして、アジアの「自然観」や「神話/民話」等を起点に、鶴見俊輔の「限界芸術」の文脈を踏まえ、現代アジアにおける「生存」のための具体的な芸術のあり方について対話を行います。

日時:2023年1月29日(日) 14:00~16:30
   vol. 1「生命」―アジールと限界芸術 14:00~15:15頃  
   vol. 2「生存」―今日のアジアと限界芸術 15:30~16:30頃 
会場:船場エクセルビル 6F
住所:大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目2−11
料金:無料
定員:20名(事前予約制)

イベントの様子はYouTube にて公開されています。
vol. 1「生命」―アジールと限界芸術
vol. 2「生存」―今日のアジアと限界芸術


主 催:秋田公立美術大学
企 画:秋田公立美術大学 大学院複合芸術研究科
問い合わせ先: icta_aa@akibi.ac.jp
_________________________________________

・複合芸術会議とは
秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科では、研究科設置初年度(2017年度)より「複合芸術会議」を毎年開催しています。「複合芸術会議」は、本研究科の研究教育の経過と成果を紹介するとともに、創造領域の最前線で活躍されている国内外のゲストを交えて複合芸術の可能性を多様な視座から検討する、公開型のイベントです。今年度は、博士課程学生の研究活動の紹介を通して、創造領域のあらたな地平を探ることに取り組みます。

・複合芸術研究科とは?
本研究科では、自らの専門領域の外へと果敢に越境し、既存の事物・事象を多角的かつ深層から問い直すことを重視しています。その過程で求められることは、自身の技術や資質を磨くとともに社会へ積極的に介入していくという内的運動と外的運動の往還です。特に博士課程では、より高度な表現と理論、柔軟な発想力と体系的な思索力の複合によって、世界に変革をもたらすような新たな芸術領域を切り開いていくことを目指しています。