永沢碧衣(2016)

永沢碧衣(2016)

アーツ&ルーツ専攻/2016年度卒/横手水産物地方卸売市場入社

春から水産物市場で絵を描いています!?

 とにかく、わたしは魚が好きです。特に淡水魚の目が好きです。海魚にない鳥の目、鷹の目みたいな、たまに凛々しくなるし、死に顔もかっこいい。
出身は秋田県横手市です。ずっと生まれて秋田だったので「外を見た方がいいよ」って言われて、一人旅とかもしたんですけど、なんやかんや帰ってくるのは秋田で。何かしらの回帰本能というか、自分が戻ってきたいと思わせる要素が東北の地にはあるのかなと思った時に、単なる「秋田の美大」っていうんじゃなくて、東北の同じような環境で生まれ育った人たちをひっくるめた美大っていう感覚になって。秋田だけっていうより「東北の」っていう感覚ですね。もともと私が生まれたところも、岩手や山形と全部近くて、いろんな似ている文化もあったので、必ずしも「秋田の美大」っていうより「東北の秋田の美大」っていていう感覚に近いですね。
 春からの就職先は地元横手の水産物卸売市場というところで、営業をします。学生課とのやり取りで私のことを知ってくださっていたみたいで、合同説明会に行ったら名刺を渡す前に、私のフェイスブックとかホームページを全部印刷してくれてて「情報はよく知っています、あとは会社に来てください、詳しくはそれからでいいので」っていう、そんな流れでした。「営業は午前で終わるし、午後からは絵の制作もできるし、水産物卸売市場では作家もやっていいよ。両立っていう考えであればうちはやりやすいよ」っていうお話で。会社の会議室でお話させていただいたんですけど、まさか魚の市場の方々にポートフォリオ見せる日が来るとは思ってなくて、それを受け止めてくれるとも思ってなかったし。デザイン業界とか美大を卒業した学生たちと自分たち企業家が今後どう関わっていくのかっていうことを考えられている企業で。地元のローカル企業でそういうことに目を向けている方がいるというのがすごい驚きでした。
 大学時代は、いろんな地域に行く機会があったんですが、その地域の人との結び付きをそこで終わりにしないで、これから社会人になっても繋がっていけたらいいなと思っています。自分の興味の先の魚とか発酵食品とか、食文化とかいろんなキーワードが自分の中にあってそれをきっかけに人と人を繋げる何かができたらなと。それがプロジェクトなのか仕事なのか全然わからないんですけどね。これからが楽しみです。