美術学部 美術学科アーツ&ルーツ専攻

存在の根っこを探求

アーツ&ルーツ専攻では、様々な素材と技法(表現媒体)をつかって、「歴史」や「地域」を芸術表現の源泉とした作品づくりを行います。

まず、歴史や地域社会の文化的古層に残存する、異文化の伝承・地名・祭事・造形物といった文化資源を、文化人類学などの方法論によって発掘します。次に、それが元々の文化のなかでになっていた意味や価値を、見慣れた現代社会の造形物の形の中に組み込んでみます。すると美意識や常識が混乱して、摩擦や違和感をきっかけにして、現代文化を律している、つまり日常には気づかれていない意味や価値(文脈や構造)を見つけ出し、平面・立体・映像・音響・写真・インスタレーション・影絵・言語芸術・パフォーマンス・アニメーションといった、多種多様な媒体と技法によって表現します。

学生たちは自身の関心に応じてフィールドワークを行い、日常の中に埋もれている地域の記憶、暮らしの中にある造形や祭り、里山・里海の動物や植物などを「存在の根っこ(=ルーツ)」として発見し、これまでにない斬新な表現を生み出しています。

 

AR専攻紹介

専門科目の紹介

3年

アーツ&ルーツ導入演習
学生を数人のグループに分け授業を進める。グループによるフィールドワークや文献調査などを行い、得られた新たな知見を元に課題を設定しグループによる制作を行う。フィールドワークなどの調査で得られた成果に対してのレポート作成やそのプレゼンテーションも行なってもらう。最終的には調査を元にした作品をグループごとに制作し発表を行う。本授業は、「アーツ&ルーツ基礎演習」、「アートプロジェクト演習」、「アーツ&ルーツ応用演習」へと段階的に進んでいく。
アーツ&ルーツ基礎演習
フィールドワークや文献調査などで得られた知見や自身の興味を元に課題を設定する。その課題に対してプロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトの一環として調査・研究と作品の制作と発表を行う。調査するテーマは「ルーツ」に関するものを主とする。ルーツとは地域のものでも個人のものでも構わない。例えば、縄文時代の遺跡、民話や説話、来訪神儀礼や修験芸能、里山・里海の生活文化から現代の社会課題などまで幅広く対象とする。
アートプロジェクト演習
全国各地で行われている様々なアートプロジェクトに参加をしてその実情を学ぶ。参加方法については積極的に関われる形であれば形式は問わない。アーティストとしての参加、運営としての参加、ボランティアとしての参加など様々な形が考えられる。プロジェクトに参加することでアートやアーティストが社会で如何なる役割を持っているかを考察する。参加したプロジェクトについて運営主体、事業規模、開催日数、告知や来場の対象者、集客人数などの具体的な数字を含むレポートを作成しプレゼンテーションを行ってもらう。他の学生が参加したプロジェクトの実情を知ることで実際に行われているプロジェクトの多様性も学ぶ。本演習で、アートの現場を経験し、動向を把握した上で、4年次に行う「アーツ&ルーツ応用演習」に向かう。

4年

アーツ&ルーツ応用演習
各自が立ち上げたプロジェクトの計画書を作成し、そのプレゼンテーション時に得られたアドバイスを基に計画書を修正しプロジェクトを展開していく。プロジェクトとして自身の興味関心のある分野に対しての調査・研究を行い、それを元に作品制作を行う。最終的には作品の完成の後に展示発表までを行う。
卒業研究
自ら課題を設定し、目標を実現するための方法論を獲得するため、4年間の学びを踏まえた総合的なガイダンスを実施する。卒業研究の期間に中間講評と卒業研究審査講評を行う。全期間を通じて、専攻所属の教員全員で指導にあたる。作品メディアはそれぞれの学生の制作テーマに適した多様なメディアを使用する。

取得可能な資格

  • 中学校教諭一種免許状(美術)
  • 高等学校教諭一種免許状(美術)
  • 高等学校教諭一種免許状(工芸)
  • 博物館学芸員

卒業後の進路

地域社会の求める価値を理解し、土地の歴史や文化に根ざした芸術を創造することのできるアーティストを育成します。また、美術に特化した専門職業以外のいわゆる一般職(公務員や一般企業の社員)においても、専攻で培った専門性をいかせるように支援します。
具体的には、グローバルに活躍するアーティスト、美術研究者、キュレーター、美術評論家、ギャラリスト、美術の教員などを輩出します。

主な進路実績

(一般企業等)
株式会社Mテック、(株)キャン、株式会社藝術出版社、佐藤茅葺店、株式会社スタジオエビス、ハコレコドットコム株式会社、合同会社ホームシックデザイン、株式会社マッドハウス、(株)ミュゼプラチナム

(公務員、教員)
北九州市教育委員会

(進学)
秋田公立美術大学大学院、金沢美術工芸大学大学院、京都市立芸術大学大学院、上越教育大学大学院、東京藝術大学大学院
※そのほか、作家活動等をしている卒業生もおります。

アーツ&ルーツ専攻教員紹介