秋田公立美術大学卒業・修了展2023

 

ゆらせ

美術の領域で捉えられない『ゆらぎ』を重ね合わせ、大きな躍動を起こす。

私たち秋田公立美術大学に所属する学生は、美術の領域を横断し、日々探究と創造に励んでいます。

「既存の美術の領域区分では捉えられない、“ゆらぎ”のようなもの。

その“ゆらぎ”を重なり合わせて、ダイナミックな躍動を起こしたい。」

この決意から、『ゆらせ』を今年度の卒業展示のテーマに定めます。

 

秋田公立美術大学卒業・修了展2023

【開催日時】令和5年2月16日(木)〜2月20日(月) 10:00〜18:00(最終入館17:30まで)
※初日のみ開始時刻13:00から ※最終日のみ最終入館16:30まで

【開催場所】秋田県立美術館 1階県民ギャラリー(〒010-0001秋田県秋田市中通1丁目4−2)
秋田市文化創造館(〒010-0875 秋田県秋田市千秋明徳町3-16)

【主  催】秋田公立美術大学卒業・修了展2023実行委員会/秋田公立美術大学

 


~ 受賞作品 ~


  • <p>学長賞 <br />
「薄氷」</p>
<p>壹ツ石 涼里  Suzuri  Hitotsuishi<br />
(ものづくりデザイン専攻)</p>
<p>作者自身の興味からスタートし、数えきれないほどの実験とリサーチを経て辿り着いた表現は、その研究過程もさることながら本人の飽くなき知の欲求と行動力に支えられ結実したものである。まだ広く認知されていない「センスウェア」という分野においてその可能性を拓いたことは明確で、そのような学生を本学から輩出できることを誇らしく思う。作品の完成度も群を抜いており、作者の積み重ねてきた努力を高く評価する。</p>

    学長賞 
    「薄氷」

    壹ツ石 涼里  Suzuri Hitotsuishi
    (ものづくりデザイン専攻)

    作者自身の興味からスタートし、数えきれないほどの実験とリサーチを経て辿り着いた表現は、その研究過程もさることながら本人の飽くなき知の欲求と行動力に支えられ結実したものである。まだ広く認知されていない「センスウェア」という分野においてその可能性を拓いたことは明確で、そのような学生を本学から輩出できることを誇らしく思う。作品の完成度も群を抜いており、作者の積み重ねてきた努力を高く評価する。

  • <p>学長奨励賞 <br />
「Flight Calls/白い鳥の渡り」</p>
<p>菅原 果歩  Kaho  Sugawara<br />
(アーツ&ルーツ専攻)</p>
<p>作者は、徹底したフィールドワークによって渡り鳥を観察し、サイアノタイプ写真をはじめとするさまざまな技法を使ってその生命の痕跡を表そうとする。それは、客観的な観察を踏まえながら、「作ること」によって異種の生命に触れようとする愛の行為だ。鳥類の羽や皮膚や骨の内側にまで潜り込む、魂の技術でもある。今作ではドローイング、写真、刺繍、記録ノート、テキストといった複合的な媒体によって、いくつもの国境を越え、北方から海を渡ってくる白鳥の群れと、怪我などの原因で移動が困難になった「渡れない個体」の生態に迫り、生命の機微をとらえる繊細な表現空間を構成した。</p>

    学長奨励賞 
    「Flight Calls/白い鳥の渡り」

    菅原 果歩  Kaho Sugawara
    (アーツ&ルーツ専攻)

    作者は、徹底したフィールドワークによって渡り鳥を観察し、サイアノタイプ写真をはじめとするさまざまな技法を使ってその生命の痕跡を表そうとする。それは、客観的な観察を踏まえながら、「作ること」によって異種の生命に触れようとする愛の行為だ。鳥類の羽や皮膚や骨の内側にまで潜り込む、魂の技術でもある。今作ではドローイング、写真、刺繍、記録ノート、テキストといった複合的な媒体によって、いくつもの国境を越え、北方から海を渡ってくる白鳥の群れと、怪我などの原因で移動が困難になった「渡れない個体」の生態に迫り、生命の機微をとらえる繊細な表現空間を構成した。

  • <p>複合芸術研究賞 <br />
「多元化された性のための彫刻」</p>
<p>岩瀬 海  Umi  Iwase<br />
(大学院複合芸術研究科  修士課程)</p>
<p>トランス・ジェンダーをめぐる社会の問題を人々に認知させることをひとつの動機として、近親者、或いは自身の身体をモデルとし、その存在の意味を探る本作は、鑑賞者とのコミュニケーションを介して「自己と他者」、「当事者と第三者」、「作家と鑑賞者」、そして何よりも「多元化された性」へ認知を促す視覚的な力がある。作者は修士2年次を通して、政治的暴力をテーマに制作する南米・コロンビアのアーティスト、ドリス・サルセドの視覚戦略を分析し、論考にまとめると共にそのエッセンスを自身の作品に効果的に反映させた。 修了制作展において作者は、身体の一部を模した複数の彫刻をギャラリー空間に散在させた。鑑賞者は、これらの彫刻から欠落した身体の部分を補完させようとイメージするだろう。しかし彫刻たちは、そのような安易な要求を跳ね返す被抑圧性を宿している。この鑑賞体験こそが、私たち誰もが潜在的に持っている特権と加害性を認識する瞬間である。そして、その認識が対話の生成を意図して開かれていることも重要であろう。また、多元化された性を通した多元的社会の有り方を、あえて「彫刻」という保守的な側面を持つ手法で世に問う、という美術史的な問題意識も併せ持っている。このように、さまざまな側面において「複合芸術的視点」を内在させた秀作として本賞の受賞に至った。</p>

    複合芸術研究賞 
    「多元化された性のための彫刻」

    岩瀬 海  Umi Iwase
    (大学院複合芸術研究科 修士課程)

    トランス・ジェンダーをめぐる社会の問題を人々に認知させることをひとつの動機として、近親者、或いは自身の身体をモデルとし、その存在の意味を探る本作は、鑑賞者とのコミュニケーションを介して「自己と他者」、「当事者と第三者」、「作家と鑑賞者」、そして何よりも「多元化された性」へ認知を促す視覚的な力がある。作者は修士2年次を通して、政治的暴力をテーマに制作する南米・コロンビアのアーティスト、ドリス・サルセドの視覚戦略を分析し、論考にまとめると共にそのエッセンスを自身の作品に効果的に反映させた。 修了制作展において作者は、身体の一部を模した複数の彫刻をギャラリー空間に散在させた。鑑賞者は、これらの彫刻から欠落した身体の部分を補完させようとイメージするだろう。しかし彫刻たちは、そのような安易な要求を跳ね返す被抑圧性を宿している。この鑑賞体験こそが、私たち誰もが潜在的に持っている特権と加害性を認識する瞬間である。そして、その認識が対話の生成を意図して開かれていることも重要であろう。また、多元化された性を通した多元的社会の有り方を、あえて「彫刻」という保守的な側面を持つ手法で世に問う、という美術史的な問題意識も併せ持っている。このように、さまざまな側面において「複合芸術的視点」を内在させた秀作として本賞の受賞に至った。

  • <p>きらり早瀬眞理子奨励賞 <br />
「  g.  t.  ℃  」</p>
<p>後藤 夏希 Natsuki  Gotou<br />
(ものづくりデザイン専攻)</p>
<p>本作品の特徴はその造形の目的が、作者のイメージの表現ではなく、作品の「作用性」に焦点を当てている点にある。<br />
実験や研究を積み重ねていく中で発見した現象や表情を、「人間の認知」と「世界の在り様」を接続するツールとして捉えている点は、現代的な課題に対して非常に意義のある提案性を持っているといえる。自分の発見した現象に対し執拗に実験を重ね、一方作品の現代性についてはデザイン分野の文脈を基に客観性を持っており、本学ならではの越境性を持った作品と言える。</p>

    きらり早瀬眞理子奨励賞 
    「 g. t. ℃ 」

    後藤 夏希 Natsuki Gotou
    (ものづくりデザイン専攻)

    本作品の特徴はその造形の目的が、作者のイメージの表現ではなく、作品の「作用性」に焦点を当てている点にある。
    実験や研究を積み重ねていく中で発見した現象や表情を、「人間の認知」と「世界の在り様」を接続するツールとして捉えている点は、現代的な課題に対して非常に意義のある提案性を持っているといえる。自分の発見した現象に対し執拗に実験を重ね、一方作品の現代性についてはデザイン分野の文脈を基に客観性を持っており、本学ならではの越境性を持った作品と言える。

  • <p>秋田市長特別賞 <br />
「風景のリアリズム」</p>
<p>野添 静 Shizuka  Nozoe<br />
(景観デザイン専攻)</p>
<p>風景とは何か、という根源的な問いに真正面から取り組んだ驚異的な作品である。作者は、我々が抱く「秋田駅の風景」という共有可能なイメージに疑問を投げかけ、純粋な風景の構築を試みている。この作品が秀逸なのは、風景が形成されるメカニズムを描くのではなく、作品と鑑賞者の間に風景を創出させようとした点である。幾何学的透視図法による無数の図が隙間なく接続された高さ5mを超える像は、特定の視点から作品を捉えることを幾重にも拒む。こうした鑑賞体験が、時間が排除された透視図群を空間的な経験に変容させ、そこに非親和化というリアリズムの本質を浮上させた点が高く評価される。</p>

    秋田市長特別賞 
    「風景のリアリズム」

    野添 静 Shizuka Nozoe
    (景観デザイン専攻)

    風景とは何か、という根源的な問いに真正面から取り組んだ驚異的な作品である。作者は、我々が抱く「秋田駅の風景」という共有可能なイメージに疑問を投げかけ、純粋な風景の構築を試みている。この作品が秀逸なのは、風景が形成されるメカニズムを描くのではなく、作品と鑑賞者の間に風景を創出させようとした点である。幾何学的透視図法による無数の図が隙間なく接続された高さ5mを超える像は、特定の視点から作品を捉えることを幾重にも拒む。こうした鑑賞体験が、時間が排除された透視図群を空間的な経験に変容させ、そこに非親和化というリアリズムの本質を浮上させた点が高く評価される。

  • <p>秋田県立美術館館長賞 <br />
「土から編む」</p>
<p>瀧谷 夏実 Natsumi  Takitani<br />
(ビジュアルアーツ専攻)</p>
<p>作者は「物を消費し続ける行為」に対する違和感からパーマカルチャーに関心を持ち、東北各地の農家や職人を訪ね、素材の栽培方法や、様々な手仕事を根気強く研究した。令和4年からは大仙市の休耕地を自ら再生させ「工芸作物」を栽培し、そこから収穫した植物でホウキやカゴなどの生活用具を、現代的なニーズに留意しながら自らデザインし制作した。すべてのプロセスを自給自足で賄う創造的産業の提案として、優れて未来志向のプロジェクトである。</p>

    秋田県立美術館館長賞 
    「土から編む」

    瀧谷 夏実 Natsumi Takitani
    (ビジュアルアーツ専攻)

    作者は「物を消費し続ける行為」に対する違和感からパーマカルチャーに関心を持ち、東北各地の農家や職人を訪ね、素材の栽培方法や、様々な手仕事を根気強く研究した。令和4年からは大仙市の休耕地を自ら再生させ「工芸作物」を栽培し、そこから収穫した植物でホウキやカゴなどの生活用具を、現代的なニーズに留意しながら自らデザインし制作した。すべてのプロセスを自給自足で賄う創造的産業の提案として、優れて未来志向のプロジェクトである。

  • 秋田魁新報社特別賞 
    「怒られなくなったら終わり。」

    出口 佳弥乃 Kayano Deguchi
    (ビジュアルアーツ専攻)

    怒りの発露はハラスメント行為に連なるものとして嫌厭されるようになった昨今、我々は日々こみあげる怒りを抑圧しながら生きている。しかし本作の作者は言う、「怒りは、社会をより良くつくり変えようとする原動力たり得るものだ」と。
    "AEP"は使用者に、怒りの適切さを問いかける。その怒りが発せられるべき意義あるものだと"AEP"が判断したとき、あなたは怒りの声をあげる勇気を持てるだろうか。「怒り」の存在意義が揺らぐ現代社会に投げかけられた、注目すべき問題作である。

  • <p>ABS秋田放送特別賞 <br />
「sections」</p>
<p>奈良 汐里 Shiori  Nara<br />
(ものづくりデザイン専攻)</p>
<p>焼成した硬質な網目状のテクスチャと有機的な円環のフォルムは、作者の地道な素材研究の積み重ねの結果として、今までにない造形技術を基に完成されている。作品内部にガラスの密やかな影が幾重にも折重なり、ガラスで造られているとは思えない、やわらかな景色が広がり、鑑賞性も非常に高度な次元にまとまっている。<br />
ガラスという素材の新しい表現技法に挑みつつ、見る人の視覚と感覚の両方に訴えかけている、技術的にも表現の深さとしてもレベルの高い作品である。</p>

    ABS秋田放送特別賞 
    「sections」

    奈良 汐里 Shiori Nara
    (ものづくりデザイン専攻)

    焼成した硬質な網目状のテクスチャと有機的な円環のフォルムは、作者の地道な素材研究の積み重ねの結果として、今までにない造形技術を基に完成されている。作品内部にガラスの密やかな影が幾重にも折重なり、ガラスで造られているとは思えない、やわらかな景色が広がり、鑑賞性も非常に高度な次元にまとまっている。
    ガラスという素材の新しい表現技法に挑みつつ、見る人の視覚と感覚の両方に訴えかけている、技術的にも表現の深さとしてもレベルの高い作品である。

  • <p>AKT秋田テレビ特別賞 <br />
「ホシワタリの命」</p>
<p>山本 慎平  Shinpei  Yamamoto<br />
(ビジュアルアーツ専攻)</p>
<p>芸術分野での「蜘蛛の巣」は主としてメタファーとして使われてきた。だが、この作品で行われているのは、生きている蜘蛛に巣を作らせ、その巣の形を通じて音楽に転換し、蜘蛛の巣の輝きから壮大な光景と物語を想起させるという、今までにない蜘蛛の生態の視覚化である。それを可能にしたのは徹底して蜘蛛に寄り添ってきた作者の蜘蛛との共生の態度であり、作品中の宇宙から降ってくるかのような「音」には、人間中心ではないマルチスピーシーズの視点からの問いかけと、その視点からの造形へのヒントが忍んでいる。</p>

    AKT秋田テレビ特別賞 
    「ホシワタリの命」

    山本 慎平  Shinpei Yamamoto
    (ビジュアルアーツ専攻)

    芸術分野での「蜘蛛の巣」は主としてメタファーとして使われてきた。だが、この作品で行われているのは、生きている蜘蛛に巣を作らせ、その巣の形を通じて音楽に転換し、蜘蛛の巣の輝きから壮大な光景と物語を想起させるという、今までにない蜘蛛の生態の視覚化である。それを可能にしたのは徹底して蜘蛛に寄り添ってきた作者の蜘蛛との共生の態度であり、作品中の宇宙から降ってくるかのような「音」には、人間中心ではないマルチスピーシーズの視点からの問いかけと、その視点からの造形へのヒントが忍んでいる。

  • <p>AAB秋田朝日放送特別賞 <br />
「Something Grossシリーズ」</p>
<p>後藤 理菜  Rina  Gotou<br />
(アーツ&ルーツ専攻)</p>
<p>木がそこに「在る」という不気味さ。「無」とは何か、個でありながら多であるとは一体どのような事態か。これらの問いは、華厳思想やマンダラ思想における、いや全人類にとっての究極の問いでもある。まずもって、若い作者がこの無限の問いに臆することなく対峙してきたという姿勢が素晴らしい。作者は、これまで様々な土地をめぐり、高い感度をもって自然観察を行ってきた。そして、そこで得たエッセンスを作品全体に浸透させた。本作は、ポップさとともに異様なまでの緊張感を有している。独特な緑青色が、鑑賞者を果てしない深淵へと誘う。摩訶不思議な快作である。</p>

    AAB秋田朝日放送特別賞 
    「Something Grossシリーズ」

    後藤 理菜  Rina Gotou
    (アーツ&ルーツ専攻)

    木がそこに「在る」という不気味さ。「無」とは何か、個でありながら多であるとは一体どのような事態か。これらの問いは、華厳思想やマンダラ思想における、いや全人類にとっての究極の問いでもある。まずもって、若い作者がこの無限の問いに臆することなく対峙してきたという姿勢が素晴らしい。作者は、これまで様々な土地をめぐり、高い感度をもって自然観察を行ってきた。そして、そこで得たエッセンスを作品全体に浸透させた。本作は、ポップさとともに異様なまでの緊張感を有している。独特な緑青色が、鑑賞者を果てしない深淵へと誘う。摩訶不思議な快作である。

  • <p>CNA秋田ケーブルテレビ特別賞 <br />
「カムイッコ」</p>
<p>佐藤 睦月 Mutsuki  Satou<br />
 (コミュニケーションデザイン専攻)</p>
<p>この研究のテーマは「アイヌ×かわいい」である。この組み合わせはハードルが高いはずである。しかし、作者はファンシーグッズを好む小中学校生をターゲットの中心に定め、北海道に生息する動物とアイヌ紋様を組み合わせキャラクターを開発した。さらに、文房具やマグカップなどの生活グッズ、チョコレートの包紙、LINEスタンプなど、大量の製品に展開し、人々が自然に受け入れる環境を実現し、軽やかにハードルを超えてみせた。</p>

    CNA秋田ケーブルテレビ特別賞 
    「カムイッコ」

    佐藤 睦月 Mutsuki Satou
    (コミュニケーションデザイン専攻)

    この研究のテーマは「アイヌ×かわいい」である。この組み合わせはハードルが高いはずである。しかし、作者はファンシーグッズを好む小中学校生をターゲットの中心に定め、北海道に生息する動物とアイヌ紋様を組み合わせキャラクターを開発した。さらに、文房具やマグカップなどの生活グッズ、チョコレートの包紙、LINEスタンプなど、大量の製品に展開し、人々が自然に受け入れる環境を実現し、軽やかにハードルを超えてみせた。

  • <p>あきびネット特別賞 <br />
「身体と心」</p>
<p>澤口 絢音  Ayane  Sawaguchi<br />
(コミュニケーションデザイン専攻)</p>
<p>作者は3年次から生活ゴミやそれが存在する室内空間について着目し取材を始め、容器や空間、人体など、ほぼ毎日作画を重ねながら、本作品の表現内容の明確化に至った。また、表現技法においては試行錯誤を繰り返す中で虚飾を排除し、作者が求めるところの美しく強く生きる人間の有り様に重なり合うイメージを表現するべく潔くも徹底した密度の描写を試みている。そして、圧倒的といえる作品規模も相まって、高い完成度の作品として結実したものと認められる。</p>

    あきびネット特別賞 
    「身体と心」

    澤口 絢音  Ayane Sawaguchi
    (コミュニケーションデザイン専攻)

    作者は3年次から生活ゴミやそれが存在する室内空間について着目し取材を始め、容器や空間、人体など、ほぼ毎日作画を重ねながら、本作品の表現内容の明確化に至った。また、表現技法においては試行錯誤を繰り返す中で虚飾を排除し、作者が求めるところの美しく強く生きる人間の有り様に重なり合うイメージを表現するべく潔くも徹底した密度の描写を試みている。そして、圧倒的といえる作品規模も相まって、高い完成度の作品として結実したものと認められる。