地域醸造家とは何か まじわり、かもす

発酵は大豆や米などが菌と触れ合い、酒や味噌などへと変容する現象です。醸造家は素材や菌、温度や湿度を組み合わせ素材以上の味を引き出します。そこに着想を得て、地域の様々な資源、因子などを発見し、掛け合わせて新たなものへと変容させる人材を「エリアブリュワー・地域醸造家」と名付けました。これは一緒にその意味について迫った全5回の講座の記録です。

作品展示&トークイベント「“醸”を展示する」

形式
作品展示・トークイベント
会場
11月19日〜25日 Hostel & Bar CAMOSIBA(横手市十文字町曙町7-3)
11月26日〜12月2日 こうじ庵(横手市鍛冶町2-4)
12月3日〜12月10日 大森赤れんが蔵(横手市大森町大森176)
概要
10:00-12:00 作品搬入、設置
12:00-13:00 ランチ
13:00-16:00 展示会(12/10 クロージングイベント)
講師
絵画作家・横手拠点地域アドバイザー 永沢碧衣

講座レポート







3週間に渡って、会場ごとに違う色を見せてきた巡回展示の最終日。二つ目の会場であったこうじ庵での展示を実際に見れなかった私にとって、CAMOSIBAでの展示からどう進化しているのかとっても楽しみでありました。また同時に赤れんが蔵も個人的にとっても興味のある場所だったのもあり、期待度はさらに高まっていました。

 

外観も特徴的な赤れんが蔵、重い扉を開けると広がる天井の高い空間にまず圧倒されます。その空間を最大限活用した各チームの展示作品は、CAMOSIBAにあった時よりも心なしか生き生きしているような気さえしました(単純に展示可能なスペースの自由度の差かもしれませんが)。でもその私のふわっとした印象も、受講生一人一人からの感想を伺っているうちに、あながち間違いではないなと感じるようになりました。

 

皆さんの口から揃って出たのは、会場が変わってその都度展示の仕方を考える過程がとても難しく、そして楽しい学びの時間であったということでした。期せずして展示会場自体もアートの一つとして組み込まれていた、というのがとても素敵で、そして今回のテーマである「“醸”を展示する」をまさに表していると感じました。今回の3会場はすべて蔵だったり、元麹屋さんであったり、私たちの展示を配置するにはあまりにもぴったりな場所が出揃ったと思っていましたが、その相乗効果は期待以上のものであったと言えると思います。今回の巡回展示は、横手市内に散らばる各会場の存在価値を知らしめることにもつながったのではないでしょうか。


また今回のクロージングイベントでは、最後にみんなでテーブルを囲み、横手の発酵食をメインとした郷土料理を味わうという時間もありました。出てきたお皿を見てその変態度に驚きつつも(笑)、おそるおそる実食する参加者たち。ハタハタずし、がっこ各種、寒天、花ずしなどなど、横手出身の私にとってもなかなか食べられない料理の数々でしたが、苦ーい大雄産のホップ茶が、しょっぱい食べ物群と良いバランスを保ってくれたように思います。個人的には受講生の神谷さんお手製の納豆汁が、さらっとしていて納豆が苦手な私にもすごく食べやすく、とっても美味しかったです。

こうして和気あいあいと終わりを迎えた、横手のAKIBI Plus。”地域醸造家(エリアブリュワー)”という実体のないものの答えを、実際に足を動かし、自分の五感を働かせ各々が掴み取ったように見えました。第1回のアツい講師陣とのセッションを経て、十文字駅前というごくごく狭い範囲をじっくりと観察し、共有し、考察し合って、ひとつのアート作品にする。はたから見ていても短期間でここまでつくりあげるのは簡単なことでなかったように思います。しかし一度方向性を見出し、やると決めて見事に成し遂げた受講生の皆さんの表情は、明らかに作品制作に乗り出す前の不安げなものとは取って代わられていました。この間に地域の未来を自らの手で醸した、という確かな手応えを感じさせるものであったと思います。この姿を間近で見ることができて、いち十文字の人間として、毎度毎度刺激を受けさせていただいたことを感謝すると共に、皆さんと一緒にさらなる醸造へのステップに向け、邁進していきたい次第です。

(Hostel & Bar CAMOSIBA 阿部円香)

横手かまくらFM紹介

「ア・ラ・美JOY」2017.12.22放送
メインパーソナリティ 岩澤亜沙美
(再生時間24:32)

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