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■絵画技法について■   2008.09.19

■絵画技法■ http://garden.millto.net/~kfujita/oil/tecnich.htm

表現用語/技 法
01■アサンブラージュ Assemblage(仏)
 「寄せ集め」の意味。伝統的な彫刻ではほとんど使用されなかった素材による3次元的な構成、3次元的なコラージュと考えることができる。初期のアサンブラージュは、M.デュシャン(1887-1968)のレディ=メイドやピカソの《牝牛の頭部》のようなダダイズムの作品を含んでおり、自転車のハンドルやサドルで構成されていた。ジャンク・アートと関連があるる1961年にニューヨーク近代美術館で開催された「アサンブラージュの美術」展以来、この用語は広く使用されるようになった。F.アルマン(1928-)の《アキュミレイション(集積)》もアサンブラージュである。

02■アラプリマ Alla Prima(伊)
 プリマ描き。直描。、あらかじめつくられた下地の上に透明な絵具を何層も塗り重ねて仕上げていく古典的、伝統的な彩色方法とは異なり、油絵具を適当な地塗りなしに直接画面に塗りこむ方法。画家が自由に色を画面に置いていく方法で、筆のタッチや絵具の盛り上がりなどを画面効果として生かす。絵画に自然らしさを求めた印象派の画家が採用した19世紀後半から、絵筆も、柔らかい筆に代わって、硬い豚毛の太筆が使用されるようになった。

03■インパスト(厚塗り) Impasto(伊)
 絵の具の厚塗り。あるいは盛り上げのこと。不透明の油絵具やアクリル絵具を、厚く盛り上げるように、また多量に使用すること。過去の巨匠は、ハイライトの部分を厚塗りした。表現効果として意図的にインパストが用いられるのは、17世紀中頃から。現代では、筆のタッチを強調したり、パレット・ナイフや指先で絵具を塗ったり、チューブから押し出した絵具をそのままキャンバスに塗りつけたような表現が一般的になった。グレーズ(薄塗り)やスカンブル(ぼかし)に対立する言葉。

04■ウェット・イン・ウェット Wet in Wet(Wet over Dry)(英)
 画面上で乾いていない絵の具の上に、さらに重ねて描く技法。水彩、油彩、アクリルなどで、最初の絵具の上に、同色または別の色の絵具を加えると、両者が自然に混じり合う。とくに水彩では、ウォッシュの濡れ具合や、重ねる絵具の色合いを試してみて、コントロールすることで複雑なにじみ効果が得られる。日本画のたらし込みや、水墨画の破墨も同様の技法。一方、下の色が完全に乾いてから、色を重ねる技法をウェット・オヴァー・ドライという。この場合は、均一に重なり合って、輪郭のくっきりした色が現れるため、一筆で形をつくることが重要となる。

05■エンコウスティック Encaustic(英)
 蝋画。顔料に熱い蝋を加えて描いた絵画。木板や大理石に描いた後、火力によって表面に光沢のある層を生む。紀元前4世紀に発明されたといわれる。1〜3世紀には一般的な絵画技術になったが、8〜9世紀には廃れてしまう。エジプトで紀元前1世紀から紀元後3世紀に制作されたファイユームのミイラ肖像画が有名。

06■片ぼかし
 色彩の濃淡によって、凸凹や陰影の感じを表す技法、古代から隈取りとして敦煌の壁画などに使われていた。輪郭線の内側をぼかす内隈、外側をぼかす外隈、暗色に明るい色を加えてのかす返り隈(照り隈)などに分類されるている。仏画などに使われる装飾的技法だったが、円山応挙(1733-95)が、写生を素早く行うため、絵具や墨を水を含んだ筆につけ、穂先で形を描きながら、根本でぼかして一気に陰影を描く方法を考案した。丸山四条派がこれを付け立て法と称して多用した。広い面はウエット・イン・ウエットによって、何筆か重ねて描く。横山大観(1868-1958)は、片ぼかしによる独特の水墨様式で《生々流転》などを描き、日本の湿潤で変化に富む空間を表現する近代的な筆触表現として用いた。

07■カマイユ Camaieu,Camayeu(仏)
 有色の下地の上に単色の明暗の調子だけで描いた絵画。イタリア語の「カメオ」と同じ語源を持つ言葉で、カマイユは単色画の総称。灰色の調子だけで仕上げたグリザイユもカマイユの一種。絵画的に大理石彫刻の集合やレリーフのような効果を得るのに用いる。黄褐色のカマイユはシラーユ、緑色のものはヴェルダイユと呼ばれる。今日ではグリザイユ以外の言葉はほとんど死語となっており、灰色以外で描いた単色画を一括してカマイユと呼ぶことが多い。

08■キアロスクーロ Chiaro Scuro(仏)
 物体の丸みを出し、周囲の空間から浮き出させるように深い陰影の明暗を対比して描く方法。レオナルドに始まってバロックに盛んに行われた。単色の明暗の調子だけで描いた絵や素描のことも意味する。

09■グラシ Glacis(仏)/Glaze,Glazing(英)
 グレーズ、またはグレージングともいい、油絵具を透明な深い層で塗り重ねる技法。15世紀前半の初期フランドル派の画家たちが手法を確立した。下塗りの色が生乾きになるのを待って、薄く透明色を重ねる。重ねる回数により明度が下がるが彩度は高まる。17世紀頃までには、彩色手法の中でもっとも熟練を要し、画家の力量が露になるとして重点的に教育されたが、現地写生を主張した自然主義や印象主義の時代から衰退した。20世紀に入り、おつゆ描きと呼ばれる透明技法も意味する。

10■グラデーション Gradation(英)
 階調とかぼかしと訳す。調子の段階をつくること。明色から暗色へ、澄んだ色から濁った色へなど、少しずつ変化してゆく段階すべてに用いる。異なる有彩色間のぼかしの意味にも使用する。より一般的には、単色画で明色から暗色への段階変化に対して使用される。白から黒の場合にはいちばんよく使う。絵画やデザインの勉強は、通常、立体的形態を白から黒への階調を用いて表現することから始まるが、この場合の基本として、視覚的に、調子が等間隔で変化する中間段階をつくれることは重要である。

11■グリザイユ Grisaille(仏)
 @無彩色のモノクロームで描いた絵の総称。油絵以外にも、水彩、テンペラ、ステンドグラスなど広く絵画・工芸で使用される言葉であるが、鉛筆や木炭のデッサンには適応されない。A祭壇画の扉部分の表側に描いた無彩色のモノクローム絵画。あたかも大理石の彫刻が並んでいるような雰囲気をつくる。B油彩の彩色の第一段階として行われるモノクロームの大まかな描写。この下描きを生かしつつ、各部が完成される。

12■スカンブリング Scumbling(伊)
 下塗りの色がとぎれとぎれに見えるように、下塗りの色の上から、不透明な色を薄くかけること。とくに、油彩画ではヴェラチューラとも呼ぶ。テンペラや混合技法を併用した場合にも、不透明色をごく薄くハッチングでかぶせたり、乾いた柔らかい筆の毛先で、細い刷毛目を軽く引くような手法が含まれる。

13■スクラッチ Scratching(英)
 ナイフを使って紙に塗られた絵具やパステルを引っ掻いて、変化をつける技法。

14■スパタリング Spattering(英)
 刷毛の筆や歯ブラシに含ませた絵具を指の先で跳ね飛ばして、変則的な模様をつくる技法。

15■スフマート Sfumato(伊)
 煙を意味するイタリア語(Fumo)から派生した言葉。くっきりと引いた輪郭線によって形態を表すのではなく、「空中に漂う煙のように」、輪郭をややあいまいにしたまま、ぼかし気味に色を使って形態を描き出す方法。レオナルドほかの16世紀の画家たちが創始したといわれる。

16■墨流し Marbling(英)
 容器の水面に濃墨をたらし、軽くかき回して、紙を浮かべ引き上げると、文様が紙に移る。平安時代から料紙の地模様に用いられた。江戸時代には、墨の代わりに藍を流したり、墨・藍・紅の3色を用いたものも出た。西洋では同様の技法を、大理石の肌理に似ていることからマーブリングと呼び、装本の表紙裏に多く用いる。

17■点描 Pointillism(英)
 絵具またはインクを、線や面として塗らず、小さな点の集合として画面を構成する技法、新印象主義の技法として有名だが、実際には、新印象主義の画家は自分たちの方法を単なる点描と区別して、分割主義と呼んだ。これは絵具をパレット上で混合して調色せず、画面に小さな点を分割した色として配置し、それを距離を置いてみると、混じり合って見えるという視覚混合理論に基づいたものであった。これによって色彩個々の輝きを失うことなく、混色がかのうになるが、形態の強さや統一感を表すのに難がある。フォービスムは、原色の点を線や面に拡げることで、さらに色彩の可能性を追求した運動。

18■テンペラ Tempera(伊)
 卵で顔料を練ってつくった絵具。あるいはそのような絵具を用いて描いた絵画。語源は、ラテン語のテンペラーレ(粉体と液体を混合する)から派生したイタリア語。18世紀中頃までは、卵以外に、膠、アラビアゴム、ガゼインなどで顔料を練った水性絵具の総称として用いられた。展色剤に用いる鶏卵は、卵白、卵黄、全卵いずれも使用することができる。15世紀半ばから油彩画が普及するにつれて衰退したが、その中間的技法として卵の中にアマニ油を混合したオイル・テンペラがあり、近年はウィーン幻想派などが使用している。

19■ドライウォッシュ Dry Wash(英)
 パステルの粉末を紙にすり込んで着色する技法。水彩のウォッシュのように、広い範囲に柔らかく色をかけるときに用いる。パステルを画用紙の上で直接、または絵具皿の上でカッターナイフなどで、削りおとす。混色は画面上でもできる。その粉末を指、脱脂綿、筆、布などで紙につける。指の腹や、擦筆などですり込むと、紙の目に粉がまんべんなく入り込み、濃くしっとりとした色面が生まれる。

20■ドライブラシ Dry Brush(英)
 絵具をそのままか、固めに溶いたものを使用してキャンバスに塗ったりこすりつけたりすることによって、かすれの効果を得る技法。

21■トロワ・クレヨン Trois Crayon(仏)
 黒・白・赤褐色の3色のチョークを使って行うデッサン。このうち任意の2色だけで行ったものはドゥ・クレヨン(Deux Crayon)という。ベージュ、灰色、深緑色などの色画用紙に行うことが多い。形の描写力に加えて、紙の色とチョークの色のハーモニーを求め、見せることを意図したデッサンとして、18世紀ロココ時代のフランスで流行した。

22■はじき画法
 紙にワックスクレヨンで描き、その上から水彩絵具を塗ると、ワックスクレヨンの部分は絵具がつかない。さらに油性の色剤やマスキング液などを支持体に塗ることによって、上に塗った色が染み込まないようにする技法。ハイライトなどの部分を保護するためにも用いられる。

23■ふき取り
 スポンジやペーパータオルで絵具を吸い取り、その部分の色を薄くしたり、除去したりする技法。修正を行う場合や、ある種の効果を得るためのもの。

24■ブルーム Bloom(英)
 ソフトパステルをつけた画面特有の粉っぽい輝きのこと。

25■フレスコ Fresco(伊)
 石灰を主成分としたモルタル塗りの壁面が湿っている間に描いた絵。水だけで練った顔料で描く。水と石灰と空中の炭酸ガスが生む化学変化によって、顔料は堅牢な保護膜に包み込まれて壁面に密着する。このような技法で描いたフレスコを「ブオン・フレスコ(真性フレスコ)」と呼ぶ。モルタルの表面が一度固まって乾いた後に彩色するものを「セッコ」という。壁面の仕上げ塗りをしたら同じ日に彩色を終わらせる。この1日の作業分の区画がジオルナータである。下絵の段階で綿密なジオルナータの分割設計を行う必要がある。

26■ブレンディング Blending(英)
 木炭、チョーク、パステルなどのドライ・メディアで使用される技術で、指先や筆、ティッシュペーパー、布などを使用して、隣接する色を互いの色の中にすり込んで、色調を徐々に、なめらかに変化させること。対象と背景との鋭い輪郭をやわらげたり、作品に立体感をもたらすことができる。

27■フロッタージュ Frottage(仏)
 凸凹のある面から型や模様を写し取ること。凸凹のある面に薄紙を当てて、その上から木炭、クレヨン、鉛筆などの腹を使って強くこすると、盛り上がっている部分だけに顔料が付着する。

28■フロッティ(すり込み) Frottis(仏)/Frottie(英)
 絵具をすり込むことの総称。@白い下地のキャンバスの表面に、半透明の色をすり込むように塗り、単色の有色下地をつくること。ピカソやクレーの絵にはしばしば見受けられる。A絵具が固まるのを待って、少量の絵の具をかすれるようにすり込み、全体のトーンを落ち着かせたり、色調を整える日本固有の方法。Bすり込みの目的のためにつくられた毛先が短く、硬いフロッティ刷毛の総称。

29■ぼかし Gradatuion,Shading(英)
 色彩の濃淡の間や明暗の間、異なる色同士の間をなめらかに移行させること。油彩では絵具の乾かないうちにファンブラシなどで、パステルや木炭では指や擦筆によって、色をなじませる。水彩では、ウォッシュの際に、グラデーションをつけたり、多色を合わせる技法をぼかしウォッシュと呼ぶ。日本画、水墨画では水を含ませた画面に絵具を置き、空刷毛という乾いた刷毛でぼかしたりする。また、絵具をつけた筆と水をつけたぼかし筆の2本でぼかす技法もある。

30■マスキング Masking(英)
 着彩する前に画面の特定部分を覆って絵具がつかないよう前処理しておくこと。この発想はすでに原始絵画にも見られるが、本格的に普及したのは1920年代後半から。最初は図案や装丁などのグラフィックアートや、車輌・航空機のロゴマークを入れる工業用塗装の方法として使われた。60年代以降、合成樹脂絵画や吹きつけ技法が一般化するに伴い、大画面を速乾性絵具で素早く処理する方法のひとつとして、利用の機会が増えた。

31■没骨
 輪郭線(骨法)を用いず、色の濃淡のみで形態を描写する技法。中国古代の梁や唐の時代から使用されていたといわれる。五代以降は、徐氏の花鳥画の技法として知られる。本来彩色画の技法だったが、水墨画でも用いられるようになった。たらし込みや付け立て法、破墨も没骨法である。横山大観、菱田春草(1874-1911)らが初期日本美術院で用いた「朦朧体」は、没骨の一種。

32■モザイク Mosaic(英)
 大理石や色のきれいな鉱石類、陶片、素焼きの土類、ガラスなどの小さな塊片を、下絵にもとづいて配列し、固定させた装飾美術。主に壁画や床面の装飾に用いる。はめ込む小さな立方体の塊片をテッセラと呼ぶ。モザイクの原型は、紀元前3千年頃にシュメール人が城壁の装飾に使用したことにあるといわれているが、教会や邸宅の装飾に多用された。最近でも壁面装飾として利用されている。