旅する地域考 2019夏編 未知の日常から、新たな問いと発見を生み出す。

旅する地域考 2020冬編 未知の日常から、新たな問いと発見を生み出す。

Tabiko News タビコウニュース

リサーチノート 03

 

「旅する地域考 辺境を酌む 冬編」の実施に向けて、旅考の運営メンバーは、次の旅先となるにかほ市と由利本荘市を事前に訪れ、リサーチを続けています。さて、この冬は、どんな場所にみなさんをお連れするのか。どんな体験ができるのか。現地で見つけたことや、感じたことを少しずつご紹介していきます。

 

 

 

4年ぶりの故郷の水

 

鳥海山の向こう側、秋田県との県境に位置する山形県飽海郡遊佐町へ。

4年4万キロの旅路を終えて牛渡川に産卵のために帰ってきた鮭たちを箕輪孵化場(みのわふかじょう)で待ち構えるのは男の農家たち。

鮭の卵を孵化させて毎年放流し、帰ってきた鮭を収穫する。ある意味、開放的な養殖業であり農業に近い感覚だ。

朝8時になると「ウライ」という罠にしかけた鮭を柵へ追い込み、川底の柵を滑車で持ち上げ、鮭を網で捕まえる。最大で1メートルもある鮭は、激しく飛び跳ね、陸を暴れる。男たちは一瞬のすきを狙って、鮭の脳天に棒を振り落とし気絶させる。

柵から何匹も引き上げられ、跳ね回る鮭を、冷静に叩き続けていく。

鮭を気絶させる棒の名前は「安楽棒」。なんとも皮肉な名前だが、縄文時代の鮭漁でも使われていたようだ。

 

私たちがおいしくいただく鮭の裏側では、10月から3月まで半年におよぶ農家と鮭の戦いがある。鮭が帰ってくる牛渡川の水温は一年を通して11度。毎分24トン湧き出る鳥海山の水はどこまでも澄んでいる。

マイクロプラスチックや海水温の上昇など気候変動や人災が広がる中で、4年ぶりの故郷の水を鮭はどう感じていたのだろう。

 

文・写真/柳澤 龍(ファシリテーター)

 

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