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水曜日の地域考 Vol.1

松川敦志

 

2020.9.23

 

 

「秋田魁新報」記者の松川敦志が、「地方記者の視点から、中央-地方の関係性の未来形を問う」をテーマにレクチャーを行った。イージス・アショア取材班の代表を務めた松川は、地元紙と中央紙の双方で記者を経験している。

 

前半は、防衛省の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア(以下、陸上イージス)」関連報道の背景を解説。秋田県と山口県を候補地に、2017年より進められていたミサイル配備計画が、2020年6月に白紙撤回された。陸上イージスの話題が全国的に注目されるきっかけを作ったのは、2019年6月5日付「秋田魁新報」の『適地調査データずさん』のスクープ。メディアの構図は中央集権的で、この報道があるまでは中央メディアが配備計画を取りあげることはほとんどなく、このスクープを機に中央紙やテレビが追随するまでに、同紙では900本の関連記事を配信したという。

 

秋田市内の配備予定地は、住宅地に隣接していた。取材班は、「地元住民の思いに軸足を置く」「判断材料を幅広く示す」「地元首長に対する監視」「政府の公式見解にとらわれない視野」を方針に掲げ、国内外で取材を続けてきた。「この土地に生きる人たちに関わる当事者として、後世の検証に耐えうる報道を心がけた」と松川。

 

後半は、“東京紙”と地方紙の今後の関わりについて。全国メディアの地方取材網が縮小される中、ジャーナリズムの存続に大切なのは、「全国紙は首都圏に経営資源を集中し、地方紙は地元にこだわり徹底的に地元を掘り下げ、そこで浮き彫りになった問題を広く発信すること」「全国の地方メディアが横でつながり、成長し合うこと」だと松川。「日本のメディアは転換点にある。地方メディアが立ち上がることで、違った展開が作られていくと思う」。モデレーターの岸健太は「地域、地方など小さな単位でビジョンを共有する“横のつながり”は、メディア以外の分野においても課題解決のヒントになるだろう」とまとめた。

 

 

松川敦志 

Atsushi Matsukawa

秋田魁新報 記者

1972年、秋田県生まれ。1996年秋田魁新報入社。社会部などをへて2002年に退社し、翌年朝日新聞入社。東京社会部、那覇総局などをへて2016年に那覇総局長を最後に退社。同年再び秋田魁新報入社。編集委員をへて2020年4月より社会地域報道部長。

イージス・アショア報道で取材班代表として2019年度新聞協会賞を受賞。秋田魁新報取材班『イージス・アショアを追う』(秋田魁新報社)には、1年半にわたる取材の詳細がドキュメントされている。

・秋田魁新報 https://www.sakigake.jp/