匿名希望(2015)

匿名希望(2015)

少年漫画賞受賞

一年間で一番印象的だった出来事は何ですか?

やはり描いた漫画が、人気少年誌で賞を戴いたことです。私は大学入学をきっかけに漫画を描き始めました。年齢的に遅いスタートと感じ、焦っていたのを覚えています。約3ヶ月かけて1作目を完成させ、ある少年誌に投稿したところ、編集の方に原稿を見てもらえるようになりました。担当がついたことで調子に乗った私は、早く賞を取ろうと躍起になり短期間に何本も作品を描いて送りました。しかし、どれも1作目を上回る評価は得られませんでした。そのまま1年くらい経ってしまいましたが、冷静さを取り戻し、初心に帰りじっくり作品を描くことにしました。1年無駄にしてしまったという後悔もありましたが、この1年で毎日漫画を描くという習慣が身に付きました。そしてその作品で目標としていた賞を戴いたのです。
美術大学という自由な環境のおかげで、学校生活と漫画制作の時間を自分の好きなように配分することができます。入学した当時は、漫画家になるために美大へという気持ちを少なからず持っていましたが、次第にどちらも別物であると考えるようになりました。そのため、学校では授業に集中し、家で漫画制作するように、極力片方の事情をもう片方に持ち込まないようにしています。

自分の中で、変化はありましたか?

賞を取った当初は嬉しかったものの、一方でプロとの途方もない力量差を感じ、ますます焦りを感じるようになりました。変化したことは自分の画力に対する見方です。これまでも問題は画力にあるという指摘を受けてきましたが、「自分は美大生」というプライドで無視してきました。しかし、受賞作の講評を見ると画力が足を引っ張っているのは明らかで、いよいよ「絵がヘタクソ」という最大の問題を直視せざるを得なくなったのです。

今後挑戦してみたことを教えてください。

目標としていた賞を受賞することはできたものの、スタートラインは遠く、画力に関しても引きずってきた問題なので、満足のいくものを描けるようになるには時間がかかりそうです。これまでの経験から学び、時に美大を利用し、焦る気持ちを押えて地道に努力します。